アブセンティーズムとは?プレゼンティーズムとの違いや原因・対策を解説
本記事では、アブセンティーズムの定義や、プレゼンティーズムとの違いを分かりやすく解説します。従業員の欠勤や休職が企業に与える影響から、具体的な測定方法、予防策までを網羅。健康経営を推進し、組織の生産性を高めたい人事・労務担当者必見の記事です。
従業員の欠勤や休職が増えており、どのように対応すべきか悩んでいる人事労務担当者や経営者の方に向けて解説します。
この記事では、アブセンティーズムの定義から、生産性低下を防ぐための具体的な対策方法までを詳しくお伝えしていきます。最後まで読んでいただくと、自社に合った健康経営の取り組みを検討するヒントが得られます。
1.アブセンティーズムとは?
アブセンティーズムという言葉の基礎知識について解説します。健康経営の推進において、従業員の健康状態を把握することは非常に大切です。
ここでは、具体的な定義と、よく比較されるプレゼンティーズムとの違いについて見ていきましょう。
アブセンティーズムの定義
アブセンティーズムとは、従業員が病気やケガなどの健康問題によって仕事を欠勤している状態を指す言葉です。WHO(世界保健機関)によって提唱された指標であり、企業におけるパフォーマンス損失を測る上で重要な概念と位置づけられています。
たとえば、風邪による突発的な休みに加えて、メンタルヘルス不調による長期休職などが代表的な例です。出勤簿や勤怠データから日数を正確に把握できるため、問題が目に見えやすいという特徴があります。健康問題が原因で業務自体が行えない状態であるため、そのまま放置すると企業活動に大きな支障をきたしかねません。
プレゼンティーズムとの違い
アブセンティーズムと対になる言葉として、プレゼンティーズムという概念が存在します。
プレゼンティーズムとは、出勤はしているものの、心身の不調によって本来のパフォーマンスを発揮できていない状態のことです。花粉症や軽い頭痛、睡眠不足を抱えながら仕事をしている状況が当てはまるでしょう。欠勤という形で表れないため、企業側からは発見しにくいという厄介な側面があります。
両者の違いをしっかりと理解し、それぞれの課題に応じた対策を講じることが健康経営の第一歩となります。
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比較項目 |
アブセンティーズム |
プレゼンティーズム |
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状態の定義 |
健康問題による欠勤や休職 |
出勤しているがパフォーマンスが低下 |
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具体的な例 |
病欠 メンタル不調による休職 |
頭痛 花粉症 睡眠不足での業務 |
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企業からの見えやすさ |
勤怠データに表れるため見えやすい |
出勤しているため発見しにくい |
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生産性への影響 |
業務そのものが停止する |
業務の質やスピードが低下する |
2.アブセンティーズムが企業に与える3つの影響
従業員の欠勤や休職が続くと、企業にはさまざまな不利益が生じることになります。アブセンティーズムがもたらす影響は、単なる労働力の減少にとどまりません。
ここでは、企業活動に与える具体的な3つの影響について解説を
経済的コストの増加
アブセンティーズムが発生すると、企業は目に見えるコスト以上の負担を強いられます。
欠勤者の業務をカバーするために、時間外労働の費用がかさみます。また、長期休職者が出た場合には、代替要員の採用や派遣社員の確保に伴う費用もかかります。
厚生労働省の資料などでも、健康関連のコストとして欠勤への対応費用が指摘されている状況です。事前の予防に投資するよりも、事後対応にかかるコストのほうが大きくなりやすい点に注意が必要です。
組織全体の生産性低下
一人の従業員が休むことで、チーム全体の生産性も大きく落ち込んでしまいます。
担当者が不在になることで業務が滞り、取引先への対応が遅れるリスクが高まるでしょう。さらに、残されたメンバーに業務のしわ寄せがいくことで、職場の疲労が蓄積しやすくなります。
この状態が長く続くと、これまで健康だった従業員まで体調を崩すという悪循環に陥るおそれがあります。個人の健康問題が、最終的には組織全体のパフォーマンス低下につながるおそれがあります。
人材の定着率やエンゲージメントの低下
アブセンティーズムが常態化している職場では、従業員のモチベーションを維持することが難しくなります。休職者が相次ぐような環境では、「自分もいつか倒れてしまうのではないか」という不安が社内に広がりやすくなります。
その結果、会社に対する信頼感や帰属意識が薄れ、離職につながるケースも少なくありません。優秀な人材の流出を防ぐためにも、安心して長く働ける環境づくりが重要になってきています。
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影響の分類 |
具体的な発生リスク |
組織へのダメージ |
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コストの増加 |
残業代の増加 代替要員の採用費 |
利益の圧迫 採用予算の超過 |
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生産性の低下 |
業務の遅延 ミスの発生 納期の遅れ |
顧客満足度の低下 チームの疲労蓄積 |
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定着率の低下 |
エンゲージメント低下 連鎖的な退職 |
組織力の低下 ノウハウの流出 |
3.アブセンティーズムを引き起こす主な原因
欠勤や休職を減らすためには、そもそもなぜアブセンティーズムが起きるのかを知る必要があります。原因は一つではなく、さまざまな要素が複雑に絡み合っている状態です。
ここでは、主な原因を3つの視点から整理して解説します。
メンタルヘルスの不調やストレス
近年、アブセンティーズムの大きな原因としてメンタルヘルス不調が挙げられます。
仕事のプレッシャーや人間関係の悩みなどから、うつ病や適応障害を発症し、長期休職を余儀なくされるケースが増えている状況です。目に見えない心の不調は、本人が限界を迎えるまで周囲が気づきにくいのが実情です。
そのため、定期的なストレスチェックなどを通じて、従業員の心のSOSを早期にキャッチする仕組みを整えることが大事です。
身体的な病気やケガ
身体的な健康問題も、欠勤の直接的な要因となります。
インフルエンザなどの感染症による突発的な休みのほか、腰痛や肩こりといった慢性的な痛みが悪化して働けなくなることもあるでしょう。とくに年齢を重ねるにつれて、生活習慣病のリスクが高まり、通院や入院のための休暇が必要になる場面も増えてきます。
日頃からの健康診断の受診推奨や、治療と仕事の両立支援が企業に求められています。
職場環境や生活習慣の問題
労働環境や個人の生活習慣の乱れも、アブセンティーズムを引き起こす背景に存在します。
長時間の残業が慢性化している職場では、十分な休息が取れず、心身の疲労が限界を超えてしまうリスクがあります。また、運動不足や偏った食事、慢性的な睡眠不足といった生活習慣の乱れも、免疫力の低下や集中力の欠如を招きます。
従業員個人の努力だけでなく、会社として健康的な働き方を後押しするアプローチが求められるでしょう。
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原因の分類 |
具体的な要因 |
企業が注意すべきポイント |
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メンタルヘルス |
うつ病 適応障害 過度なストレス |
周囲が気づきにくく長期化しやすい |
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身体的な不調 |
感染症 腰痛 生活習慣病 ケガ |
年齢とともにリスクが上昇する |
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職場環境・習慣 |
長時間労働 睡眠不足 運動不足 |
職場全体での見直しと啓発が必要 |
4.アブセンティーズムの正しい測定方法
自社の現状を把握するためには、アブセンティーズムを数値化して測定することが大切です。経済産業省が推進する健康経営のガイドラインなどでも推奨されている代表的な測定方法を紹介していきます。自社の状況に合った方法を取り入れてみてください。
従業員へのアンケート調査を実施する
アブセンティーズムを正確に測る手段として、従業員に対するアンケート調査が推奨されています。
具体的には、WHOが開発した評価指標などを活用して、過去一定期間の欠勤日数やパフォーマンスについて回答してもらう流れです。この方法の利点は、単なる休んだ日数だけでなく、本人の主観的なパフォーマンス評価も把握できる点にあります。
ただし、回答者の心理的な負担や、素直に回答してもらうための信頼関係の構築に配慮する必要があるでしょう。
参考:調査票紹介 - RIOMH 産業精神保健研究機構(Research Institute of Occupational Mental Health)
参考:健康経営ガイドブック
欠勤や休職日数を代替指標として用いる
アンケート調査の実施が難しい場合は、人事部門が保有している勤怠データを活用する方法が存在します。病気やケガを理由とした欠勤日数や、休職者の人数、有給休暇の取得状況などを集計して、アブセンティーズムの代替指標とするやり方です。
この方法は、既存のデータを使うため手間がかからず、すぐに現状を可視化できるというメリットがあります。一方で、風邪で有給休暇を消化したケースなどが正確に反映されない可能性もあるため、データの読み解きには工夫が求められます。
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測定方法の種類 |
メリット |
デメリット・注意点 |
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アンケート調査 |
個人の主観を含め正確な状態を把握できる |
質問項目の選定や回答回収に手間がかかる |
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勤怠データの活用 |
既存データを使うため導入のハードルが低い |
有給消化など隠れた病欠を把握しにくい |
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休職者数の集計 |
長期的な経営リスクを可視化しやすい |
突発的な短期の欠勤状況が見落とされがち |
5.企業ができるアブセンティーズムの対策
アブセンティーズムを防ぐためには、問題が起きてから対処するのではなく、予防の観点を持つことが重要です。ここでは、企業がすぐに取り組める具体的な対策方法を3つのステップで解説します。
産業医や相談窓口との連携を強化する
従業員が体調の異変を感じたときに、すぐに専門家に相談できる体制を整えることが第一歩となります。
産業医との面談希望を出しやすい環境を作ったり、外部の支援プログラム機関を活用して匿名の相談窓口を設置したりする方法があるでしょう。上司や同僚には話しにくい悩みでも、第三者であれば打ち明けやすくなります。
早期に不調を発見して適切な医療機関へつなぐことが、長期休職を防ぐための有効な手段です。
柔軟な働き方と職場環境の改善を進める
心身の疲労を蓄積させないために、働き方の見直しも大切です。
長時間労働の是正はもちろんのこと、テレワークやフレックスタイム制を導入し、従業員が自分の体調に合わせて柔軟に働ける環境を提供していきます。また、職場のコミュニケーションを活性化させるための定期的なミーティングの実施なども効果的です。
風通しの良い職場をつくることで、少しの体調不良でも無理せず休める心理的安全性が育まれやすくなります。
従業員の健康リテラシーを向上させる教育
健康に対する意識を高める教育機会を提供することも、企業の大切な役割といえます。
睡眠の質を高める方法や、正しい食生活、適度な運動の習慣化について学ぶ社内セミナーを開催してみましょう。また、管理職向けには、部下のメンタルヘルス不調に気づくためのラインケア研修を実施することが望ましいです。
組織全体で健康に関する知識を共有することで、従業員一人ひとりが自発的にセルフケアを実践しやすくなります。
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対策のアプローチ |
具体的な取り組み内容 |
期待される効果 |
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相談体制の構築 |
産業医面談 外部相談窓口の設置 |
不調の早期発見と長期休職の防止 |
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働き方の見直し |
テレワーク導入 有給取得の奨励 |
疲労の蓄積防止と心理的安全性の向上 |
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教育・啓発活動 |
セルフケア研修 管理職向けラインケア研修 |
健康リテラシーの向上と職場全体の意識改革 |
まとめ
この記事の要点をまとめます。
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自社の現状をしっかりと測定し、従業員が心身ともに健康で働ける環境づくりを今日から始めていきましょう。
<最後に>
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