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中小企業の福利厚生はどう選ぶ?コストを抑えて採用に勝つ導入手順

中小企業が福利厚生を充実させるメリットや、低コストで導入できる人気のサービスを解説します。平均費用の相場や税制上の節税効果、従業員満足度を高める選び方のポイントまで、採用強化と定着率アップに直結するノウハウを網羅しました。

 
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目次

1.中小企業に福利厚生はなぜ必要なのか?


2.福利厚生にはどのような種類があるのか?


3.導入にかかる費用の相場はいくらか?


4.中小企業で人気の福利厚生メニューとは?


5.外部サービスを活用するメリットは?


6.導入時に失敗しないための選び方は?


まとめ


中小企業の経営者や人事担当の方であれば、求人を出してもなかなか応募が来ないことや、育てた社員が辞めてしまうことに頭を悩ませた経験があるのではないでしょうか。給与を一律にベースアップするのは財務的に難しくても、福利厚生を戦略的に充実させることで、採用力と従業員満足度は劇的に改善できます。

この記事では、予算やリソースに限りがある中小企業でも導入しやすい福利厚生の種類や、具体的な選び方のポイントについて解説します。読み終わる頃には、自社の課題を解決するために「どの施策から始めるべきか」が明確になり、具体的なアクションプランを描けるようになるはずです。

1.中小企業に福利厚生はなぜ必要なのか?

多くの経営者が福利厚生を単なる「コスト」と捉えがちですが、実際には企業成長を支えるための重要な「投資」です。特に人材獲得競争が激化している現在において、福利厚生の充実は経営課題を解決する強力なツールとなり得ます。ここでは、中小企業が福利厚生に力を入れるべき具体的な理由を3つの視点から解説します。

採用競争力の強化につながる

求職者が企業を選ぶ際、給与額と同等以上に重視するのが「働きやすさ」や「待遇」です。大企業に比べて知名度で劣る場合でも、ユニークな手当や実用的な生活支援があることは、求職者の目に留まる大きなフックとなります。特に若手層や子育て世代の求職者は、ワークライフバランスを重視する傾向が強いため、柔軟な働き方や生活支援に関する福利厚生は強力なアピール材料です。募集要項に具体的な制度を明記することで、他社との差別化を図り、応募数の増加やミスマッチの防止につなげることができます。

従業員の定着率が向上する

既存社員の離職を防ぐことも、採用と同じくらい重要です。福利厚生が充実していると、社員は「会社から大切にされている」という実感を持つことができます。この心理的な安心感(エンゲージメント)が高まることで、組織への帰属意識が強くなり、結果として離職率の低下に寄与します。また、健康診断の充実やメンタルヘルスケアなどの施策は、心身の不調による休職や退職を未然に防ぐセーフティーネットとしての機能も果たします。

節税効果による財務メリットがある

福利厚生費として計上した費用は、一定の要件を満たすことで「損金」として処理できます。つまり、給与として現金を支給すると会社側には社会保険料の負担が発生し、社員側には所得税や住民税がかかりますが、福利厚生として現物支給やサービス提供を行えば、双方が税制上のメリットを享受できる可能性があります。例えば、食事補助や社宅制度などは、条件を満たせば非課税で運用できるため、実質的な手取り額を増やしながら、会社としての税負担をコントロールする賢い手段となります。


2.福利厚生にはどのような種類があるのか?

「福利厚生」という言葉は広い意味で使われますが、実務上は大きく2つのカテゴリーに分けられます。自社で制度を設計する際は、この区分を正しく理解しておくことがスタートラインです。それぞれの特徴と、企業として対応すべき範囲について整理します。

法律で義務付けられた法定福利厚生

法定福利厚生とは、法律によって企業に実施が義務付けられている福利厚生のことです。これは企業の規模に関わらず加入が必須です。具体的には以下の6種類が該当します。費用負担については、健康保険・厚生年金保険・介護保険・雇用保険は企業と従業員で折半(または一部負担)し、労災保険と子ども・子育て拠出金は全額が企業負担となります。これらは「あって当たり前」の基盤であり、未加入の場合は法律違反となるため注意が必要です。


種類

内容

目的

健康保険

医療費の負担軽減

私傷病への備え

厚生年金保険

老後の年金給付

老後の生活保障

介護保険

介護サービスの利用補助

高齢化社会への対応

雇用保険

失業時の給付金など

雇用の安定

労災保険

業務中の怪我・病気の補償

労働災害への対応

子ども・子育て拠出金

児童手当等の財源

子育て支援


企業が独自に定める法定外福利厚生

法定外福利厚生とは、企業が任意で導入するプラスアルファの制度です。一般的に「福利厚生が充実している」と言われる企業は、この法定外福利厚生の内容が優れています。住宅手当や通勤手当といった金銭的な補助から、人間ドックの受診補助、社員旅行、ジムの利用割引など、その内容は多岐にわたります。企業のカラーや経営方針を反映させやすく、従業員の満足度に直結するのはこの部分です。


近年のトレンドはライフスタイル支援

従来の福利厚生は「社員旅行」や「運動会」といった行事系が主流でしたが、近年は従業員のライフスタイルや価値観の多様化に合わせ、個人の生活を直接支援するサービスが人気です。例えば、育児・介護との両立支援、自己啓発のためのスキルアップ費用の補助、リモートワーク環境を整えるための手当などが挙げられます。全員一律のサービスを提供するのではなく、従業員がそれぞれの状況に合わせて必要なものを選べる柔軟性が求められています。


3.導入にかかる費用の相場はいくらか??

福利厚生を充実させたいと考えても、気になるのはやはりコストです。世の中の中小企業はどの程度の予算を割いているのでしょうか。相場を知ることで、自社の予算計画が妥当かどうかを判断する基準になります。

従業員1人あたりの平均月額費用

日本経済団体連合会(経団連)が実施していた福利厚生費調査は、2019年度(第64回)を最後に終了しています。同調査によると、2019年度時点で全産業における従業員1人1ヶ月あたりの福利厚生費の平均は108,517円でした。この数字には「法定福利費(社会保険料など)」が含まれており、84,392円(約78%)を占めています。企業が独自に使える「法定外福利費」の平均は、24,125円でした。

現在、最新の公的データとしては、厚生労働省「令和3年(2021年)就労条件総合調査」があります。同調査によると、2021年度の従業員1人1ヶ月あたりの法定福利費は50,283円、法定外福利費は4,882円となっています。なお、労働費用(福利厚生費)に関する調査は5年ごとに実施されており、次回調査は令和8年(2026年)に予定されています。

ただし、経団連調査と厚生労働省調査では調査対象や集計方法が異なるため、直接の比較には注意が必要です。また、2019年度以降、社会保険料率の上昇に伴い、法定福利費はさらに増加していると考えられます。

これらは大企業も含んだ平均値ですので、中小企業においてはもう少し低い水準となります。厚生労働省の同調査では、従業員30〜99人規模の企業では法定外福利費が月額4,414円(2021年度)となっており、中小企業では月額5,000円〜1万円程度からスタートするケースも多く見られます。

参考:2019年度福利厚生費調査結果の概要|一般社団法人 日本経済団体連合会令和3年就労条件総合調査の概況|厚生労働省


予算内で実現可能な配分の考え方

限られた予算を効果的に使うためには、メリハリのある配分が必要です。全ての要望に応えようとすると予算オーバーになるため、優先順位を決めなければなりません。例えば、「全社員が恩恵を受けられる食事補助」に予算の50%を充て、「特定の人に必要な慶弔見舞金」に20%、「健康管理」に30%といった具合です。重要なのは、一部の社員しか利用できない制度ばかりに予算を割かないことです。不公平感は組織の不満につながるため、利用率が高くなりそうなメニューに重点的に投資するのが鉄則です。


コストパフォーマンスの良い施策

コストを抑えつつ高い満足度を得るためには、外部の福利厚生代行サービスの活用が有効です。月額数百円から千円程度(1人あたり)のコストで、宿泊施設や映画館、ジムなどの割引サービスをパッケージとして利用できる会員制サービスなどがあります。自社で個別に契約を結んだり管理したりする手間を考えると、非常にコストパフォーマンスが高い選択肢です。また、社内に無料のドリンクサーバーやお菓子ボックスを設置するといった、低予算ですぐに始められる「プチ福利厚生」も、日常的な満足度向上に意外と効果を発揮します。


4.中小企業で人気の福利厚生メニューとは??

実際にどのような福利厚生が従業員から喜ばれるのでしょうか。トレンドやアンケート結果を踏まえると、実用的で家計の助けになるものが上位に来る傾向があります。ここでは特に中小企業での導入実績が多く、満足度が高い代表的なメニューを紹介します。

満足度が高い食事補助

「食事」は毎日のことであるため、その補助は従業員全員にとってメリットが大きく、満足度が非常に高い施策です。社員食堂の設置はハードルが高いですが、仕出し弁当の注文補助や、コンビニやレストランで使える食事券の支給、または「置き型社食」と呼ばれるオフィス設置型の惣菜サービスなどが人気です。これらは「同じ釜の飯を食う」というコミュニケーション活性化の効果も期待でき、企業側としても導入意義を感じやすいメニューと言えます。


負担軽減につながる住宅手当

生活費の中で最も大きなウェイトを占めるのが家賃や住宅ローンです。そのため、家賃補助や借り上げ社宅制度は、従業員にとって実質的な年収アップと同等のインパクトがあります。特に若手社員や地方から採用した社員にとっては、生活の安定に直結するため、非常に喜ばれます。企業側にとっても、借り上げ社宅制度を活用することで、支払う家賃を福利厚生費として計上できれば、給与として支給するよりも税制面で有利になるケースがあります。


健康経営を支えるヘルスケア

従業員の健康維持は、企業の生産性に直結する重要なテーマです。法定の定期健康診断に加えて、人間ドックの費用補助やインフルエンザ予防接種の費用負担、スポーツジムの利用補助などが一般的です。また、最近ではメンタルヘルス対策として、オンラインカウンセリングサービスの導入や、ストレスチェックの実施に力を入れる企業も増えています。「会社が健康を気遣ってくれている」というメッセージは、安心感と信頼関係の構築に役立ちます。


5.外部サービスを活用するメリットは??

自社ですべての福利厚生制度を企画・運用するのは、マンパワーの限られた中小企業にとっては大きな負担です。そこで多くの企業が導入しているのが、福利厚生のアウトソーシング(外部委託)サービスです。専門企業のノウハウを活用することで得られるメリットについて解説します。

運用工数の大幅な削減

自社で宿泊施設と契約したり、割引チケットを手配したりする場合、その契約手続きや在庫管理、精算業務などは膨大な手間となります。総務や人事の担当者が本来のコア業務に集中できなくなるリスクもあります。アウトソーシングサービスを利用すれば、こうした面倒な事務手続きや提携先との交渉はすべて代行会社が行ってくれます。担当者は導入後の周知や利用促進を行うだけで済むため、管理コストを最小限に抑えながら充実した制度を維持できます。


パッケージプランのコスト優位性 

福利厚生代行会社が提供する「パッケージプラン」は、大企業並みの多様なサービスを低コストで利用できる仕組みです。会員企業がスケールメリットを共有することで、従業員1人あたり月額300円~1,200円程度(多くは800円~1,000円前後)という比較的安価な料金で、全国数万カ所の施設やサービスを割引価格で利用できるようになります。自社単独では絶対に実現できない割引率や提携数を確保できる点は、中小企業にとって最大のメリットと言えるでしょう。


カフェテリアプランの選択肢

もう少し予算に余裕がある場合や、従業員のニーズが多様化している場合は「カフェテリアプラン(選択型福利厚生)」も有効です。これは、会社が従業員に一定のポイントを付与し、従業員はそのポイントの範囲内で、用意されたメニューの中から好きなものを選択して利用する方式です。旅行に使いたい人、育児用品に使いたい人、自己啓発に使いたい人など、それぞれのライフスタイルに合わせた使い方ができるため、制度に対する納得感と満足度が高まります。


6.導入時に失敗しないための選び方は?

福利厚生を導入したものの、「誰も使っていない」「無駄なコストになっている」という失敗事例は少なくありません。形骸化を防ぎ、生きた制度として運用するためには、導入前の準備と設計が重要です。失敗を避けるために押さえておくべき3つのポイントを解説します。

従業員のニーズ調査を実施する

経営者が「これが喜ばれるはずだ」と思い込んで導入した制度が、従業員にとっては魅力的でないことはよくあります。例えば、平均年齢が高い職場に子育て支援を導入しても利用者は限定的ですし、若手が多い職場に保養所を用意してもあまり使われないかもしれません。まずは全従業員を対象にアンケートを行い、「何に困っているか」「どんな支援があれば嬉しいか」を具体的にヒアリングすることが不可欠です。現場の声を反映させるプロセスそのものが、従業員の納得感を高める第一歩となります。


全従業員が利用できる公平性を保つ

特定の従業員しか利用できない制度ばかりになると、利用できない従業員から不満が出ることがあります。例えば、持ち家の人には恩恵がない住宅手当や、喫煙者だけが休憩を取れる環境などは不公平感の温床となります。もちろん全ての制度を完全に平等にすることは難しいですが、制度全体のバランスを見て、誰もが何らかの恩恵を受けられるように設計することが重要です。正規雇用・非正規雇用を問わず利用できるサービスを選ぶなど、包括的な視点を持つことが組織の一体感を生みます。


課税・非課税のルールを確認する

福利厚生費として計上するためには、税法上の要件を満たす必要があります。基本的には「全従業員を対象としていること」や「社会通念上妥当な金額であること」などが条件となります。例えば、特定の役員だけを対象とした高額な人間ドック費用や、現金での支給とみなされる手当などは、給与課税の対象となるリスクがあります。導入したい施策が非課税扱いになるか、経費として認められるかについては、顧問税理士などに事前に相談し、明確なルール(規定)を作成しておくことがトラブル回避の鍵です。


まとめ

中小企業が福利厚生を充実させることは、採用難の解消や離職防止、さらには節税対策として非常に有効な手段です。コストや手間の懸念はあるものの、アウトソーシングサービスの活用や、優先順位をつけた予算配分によって、無理のない範囲で効果的な制度を構築することは十分に可能です。まずは従業員の声を聞き、小さな施策からでも始めてみることが、組織を強くする第一歩となるでしょう。

この記事の要点をまとめます。


  • 採用強化と定着率向上のため、福利厚生はコストではなく投資と捉える
  • 法定外福利費は月額数千円からでも開始でき、食事補助や住宅手当が特に人気
  • 外部サービスの活用やニーズ調査の実施で、公平かつ運用負担の少ない制度を目指す

自社の課題に合った福利厚生を見直し、社員が長く安心して働ける環境づくりを進めていきましょう。


<最後に>

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