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エンゲージメントが低い原因とは?放置するリスクと今日からできる改善策

エンゲージメントが低い組織には共通する5つの原因があります。本記事では、スコア低下の背景にある心理的要因から、離職や生産性低下といったリスク、コストをかけずに実施できる具体的な改善施策までを人事のプロが解説します。
エンゲージメントが低い会社.jpg

サーベイの結果を見て、「なぜこんなにエンゲージメントが低いのだろう」と頭を抱えていませんか?

給与や福利厚生は整えているはずなのに、社員の反応が鈍い。現場に活気がなく、どこかやらされ仕事の雰囲気が漂っている。そして何より、経営層から「なんとか改善しろ」とプレッシャーをかけられている。

もしこのような状況だとしても、決して焦る必要はありません。エンゲージメントが低いことには必ず明確な「原因」があり、正しい手順を踏めば着実に改善できるからです。逆に言えば、原因を特定せずに手当たり次第に施策を行っても、現場を白けさせてしまうだけでしょう。

この記事では、多くの組織支援に関わってきた経験から、エンゲージメントが低くなる構造的な原因と、明日から着手できる具体的な改善アクションについて解説します。読み終える頃には、漠然とした不安が消え、「まずはここから始めよう」という明確な一歩が見えているはずです。

1.エンゲージメントが低い状態とはどのようなことか?

「エンゲージメントが低い」という状況を正しく理解するためには、まず言葉の定義を明確にしておく必要があります。多くの人が混同しがちなのが「従業員満足度」との違いです。ここを履き違えていると、打つべき対策の方向性が大きくズレてしまいます。

ここでは、エンゲージメントが低いとは具体的にどのような状態を指すのか、現場の実態とあわせて紐解いていきます。

【関連記事】従業員エンゲージメントとは?向上させるメリットと具体的な実践方法を解説

従業員満足度とエンゲージメントの決定的な違い

従業員満足度とエンゲージメントは似て非なるものです。従業員満足度は「会社が自分に何をしてくれるか」という受動的な評価指標です。給与が高い、休みが多い、オフィスが綺麗といった「環境への満足」が中心となります。

一方でエンゲージメントは「自分が会社や仕事にどう貢献したいか」という能動的な意欲の指標です。会社が目指す方向性に共感し、自ら貢献しようとする「熱意」や「愛着」が中心となります。

以下の表に、両者の違いを整理しました。


項目

従業員満足度(ES)

エンゲージメント

主語

会社が(私に何をしてくれるか)

私が(会社とどう関わるか)

性質

受動的・報酬的

能動的・貢献的

高い状態

居心地が良い、不満がない

やりがいがある、成長できる

リスク

高すぎると「ぶら下がり社員」が増える

低いと組織力が低下する


つまり、エンゲージメントが低い状態とは、単に「給料に不満がある」状態ではありません。「この会社で頑張る理由が見つからない」「自分の仕事に意味を感じられない」という、心の繋がりが切れてしまっている状態なのです。

スコアが低い組織に見られる現場の雰囲気

エンゲージメントスコアが低い組織には、日常の風景の中に特有のサインが現れています。

例えば、会議の場面を想像してみてください。上司が話している間、メンバーは無表情で下を向いていませんか?意見を求めても「特にありません」と返ってくることが多くないでしょうか。これは「どうせ言っても変わらない」という諦めの空気が蔓延している証拠です。

【関連記事】エンゲージメントスコアとは?数値化メリットや測定方法を解説します


また、職場での会話が業務連絡のみに終始しているケースも危険信号です。「ありがとう」や「助かったよ」といった称賛の言葉が聞こえず、失敗をしたときには犯人探しのような空気になる。このような心理的安全性が低い職場では、従業員は「失敗しないこと」だけを目的に仕事をするようになり、挑戦や自発的な行動は失われていきます。

エンゲージメントが低い組織では、社員は「会社という箱の中にいるだけの他人同士」になってしまっているのです。


2.なぜエンゲージメントが低くなってしまうのか?

サーベイの結果が悪かったとき、多くの担当者は「給料が安いからだ」と考えがちです。しかし、実際には金銭的な報酬だけでエンゲージメントが決まるわけではありません。むしろ、お金以外の「感情的な報酬」や「未来への期待」が不足していることの方が深刻な原因となります。

ここでは、エンゲージメントを低下させる主な5つの原因について解説します。

会社のビジョンや方向性が現場に伝わっていない

一つ目の原因は、会社がどこへ向かっているのかが見えていないことです。

人は意味のない行動を続けることに苦痛を感じる生き物です。経営層が「売上目標達成」だけを叫び、その先にある社会的な意義やビジョンを語っていない場合、従業員は自分が何のために働いているのか分からなくなります。「ただ数字を作るための駒」として扱われていると感じれば、会社への貢献意欲が湧かなくなるのは当然です。

ビジョンがあっても、それが美しいスローガンとして壁に貼られているだけでは意味がありません。日々の業務とビジョンがどう繋がっているのかが翻訳されていないとき、エンゲージメントは低下します。

自分の仕事が評価されているという実感がない

二つ目は、承認と評価の不足です。

ここで言う評価とは、単に人事評価の点数やボーナスの額だけを指すのではありません。「自分の頑張りを誰かが見てくれている」という実感のことです。日々の業務の中で、上司からのフィードバックがなかったり、成果を出しても当たり前としてスルーされたりすると、従業員は「自分は大切にされていない」と感じます。

特に、評価基準が不透明な状態は致命的です。なぜあの人が昇格して、なぜ自分は評価されないのか。その理由が納得できなければ、会社への不信感は募るばかりです。公平感の欠如は、エンゲージメントを急速に冷めさせる大きな要因となります。

心理的安全性が低く本音で話せる関係がない

三つ目は、職場環境の人間関係、特に心理的安全性の欠如です。

ミスをしたら厳しく叱責される、異質な意見は排除される、上司の機嫌を伺いながら仕事をしなければならない。このような環境では、従業員は自己防衛にエネルギーを使ってしまい、仕事そのものに熱意を向ける余裕がなくなります。

「困ったときに相談できる相手がいない」という孤立感もエンゲージメントを下げます。リモートワークの普及により雑談が減り、業務以外の繋がりが希薄になったことで、この問題を抱える組織は増えています。関係性の質が悪化すると、組織への愛着も同時に失われていくのです。

【関連記事】メンタルヘルス対策は何から始める?企業の義務と効果的な4つのケアを解説

業務過多や長時間労働で心身が疲弊している

四つ目は、物理的な労働環境の問題です。

どれだけ高尚なビジョンややりがいがあっても、心身が健康でなければエンゲージメントは維持できません。終わりの見えない長時間労働や、特定の個人に負荷が集中する業務配分は、従業員から気力を奪います。

疲弊した状態では、会社への貢献どころか、日々の業務をこなすだけで精一杯になります。「会社は自分を使い潰そうとしている」と感じさせてしまえば、エンゲージメントは底を打ちます。健全な労働環境は、エンゲージメントを高める以前の土台として不可欠な要素です。

キャリアの将来像が描けず成長を感じられない

五つ目は、未来に対する期待の欠如です。

「この会社に居続けても、成長できない気がする」と思うような優秀な人材ほど、自身の市場価値やキャリアパスに敏感です。ロールモデルとなる先輩がいない、新しいスキルを習得する機会がない、ポストが詰まっていて昇進のチャンスがないといった状況では、従業員の心は離れていきます。

会社と個人の成長ベクトルが重なっていないとき、従業員は会社を「自分のキャリアにおける通過点」としか見なさなくなります。長期的な関係性を築くためには、会社が個人の成長を支援する姿勢を見せることが重要です。


3.エンゲージメントが低い組織を放置するリスク

「エンゲージメントなんて、ただの気持ちの問題だろう」と軽視する経営者もいるかもしれません。しかし、低いエンゲージメントを放置することは、経営にとって極めて重大な損失をもたらします。それは目に見えないところで静かに進行し、気づいたときには手遅れになっていることが多いのです。

ここでは、エンゲージメント低下が引き起こす3つの具体的なリスクについて解説します。

優秀な人材から順番に離職していく

最大のリスクは、人材流出です。しかも、辞めてほしくない優秀な社員から先に辞めていきます。

優秀な人材は社外でも通用するスキルを持っており、引く手あまたです。彼らは「この会社では自分の能力を発揮できない」「ここにいても未来がない」と判断すれば、迷わず他社へと移っていきます。残るのは、他に行くあてのない、ぶら下がり社員ばかり。

離職が続けば、採用コストがかさむだけでなく、残された社員の負担も増え、さらに離職を招くという負のスパイラルに陥ります。

言われたことしかやらない受動的な組織になる

次に起こるのが、組織の生産性と創造性の低下です。

エンゲージメントが低い社員は、「言われたことだけやっておけばいい」という姿勢になります。マニュアル通りの対応はできても、プラスアルファの提案や、業務改善のアイデアは出てきません。変化の激しい現代のビジネス環境において、指示待ち人間ばかりの組織は致命的です。

また、ミスを隠蔽したり、他部署との協力を拒んだりと、組織全体のパフォーマンスを下げる行動(セクショナリズム)も横行するようになります。これでは、どんなに優れた戦略があっても実行することはできません。

顧客へのサービス品質が低下し業績が悪化する

最終的には、顧客満足度の低下と業績悪化に直結します。

「従業員満足なしに顧客満足なし」と言われる通り、会社に対して不満や無関心な社員が、顧客に対して最高のサービスを提供することは不可能です。接客態度が悪くなる、製品の品質チェックが甘くなる、納期への意識が低くなる。こうした現場の小さな綻びは、やがて顧客からのクレームや契約解除という形で表面化します。

エンゲージメントの低下は、単なる社内の雰囲気の問題ではなく、企業の収益力そのものを削ぐ経営課題なのです。


4.エンゲージメントを高めるための具体的な改善施策

原因とリスクが分かったところで、具体的なアクションに移りましょう。エンゲージメント向上に、必ずしも莫大な予算や大規模な制度改革が必要なわけではありません。むしろ、日々のコミュニケーションやマネジメントの工夫といった「小さな変化」の積み重ねが効果を発揮します。

ここでは、明日から人事やマネージャーが取り組める4つの施策を紹介します。

1on1ミーティングで対話の質を変える

最も基本的かつ効果的な施策は、上司と部下の対話の場である「1on1ミーティング」の導入・改善です。

ただし、単なる業務進捗の確認の場にしてはいけません。1on1の目的は、部下の悩みやキャリアへの思いを聴き、信頼関係を築くことにあります。「最近、仕事で楽しかったことはある?」「将来やってみたいことはある?」といった問いかけを通じて、部下の価値観や感情に寄り添うことが重要です。

上司が自分のために時間を使い、真剣に向き合ってくれているという事実は、部下の承認欲求を満たし、エンゲージメントを高める強力なドライバーとなります。まずは週に115分でも良いので、業務以外の話をする時間を設けてみてください。

小さな貢献を見逃さずに称賛し合う仕組みを作る

評価への不満を解消するためには、称賛の頻度を上げることが有効です。半年に一度の人事評価だけでなく、日常的な「ありがとう」を可視化する仕組みを作りましょう。

例えば、サンクスカードやチャットツールでの称賛チャンネルの活用です。「会議の準備をしてくれて助かった」「あの資料、とても見やすかった」といった、些細な行動に対する感謝を伝え合う文化を醸成します。

重要なのは、成果(Result)だけでなく、行動(Behavior)やプロセスを褒めることです。これにより、数字に表れにくい縁の下の力持ちも正当に評価されていると感じられ、組織全体の心理的安全性が高まります。

【関連記事】社内コミュニケーションを活性化する!具体的な施策やメリットを解説

経営層の言葉を現場の業務に翻訳して伝える

ビジョンの浸透には、接続詞の役割が必要です。経営層が発信する抽象的なメッセージを、現場マネージャーが「自分たちの部署では具体的にどういうことか」に噛み砕いて伝えるプロセスを強化しましょう。

例えば、「顧客第一」というビジョンがあるなら、開発部なら「バグのないコードを書くこと」、営業部なら「顧客の課題を深くヒアリングすること」というように、日々の行動レベルまで落とし込みます。

自分の目の前の仕事が、会社の大きな目標にどう繋がっているのかが腹落ちしたとき、従業員の仕事に対する「意味づけ」が変わり、モチベーションが内側から湧いてくるようになります。

従業員サーベイを活用して課題を定点観測する

エンゲージメントは一度高めたら終わりではありません。定期的に状態を把握し、メンテナンスを続ける必要があります。そのために有効なのが従業員サーベイです。

サーベイを実施する際のポイントは、「やりっぱなしにしない」ことです。結果が悪かったとしても、それを隠さずに開示し、「この課題に対して、会社としてこう取り組む」というメッセージを発信してください。

「会社は私たちの声を聞いて、良くしようとしてくれている」という姿勢を見せること自体が、エンゲージメントを高める施策になります。まずは半期に一度などの頻度で、組織の健康診断として定点観測を始めることをお勧めします。


5.エンゲージメント向上に成功した企業の事例

最後に、独自の取り組みによって高いエンゲージメントを実現している企業の事例を紹介します。自社に取り入れられるエッセンスがないか、参考にしてみてください。

スターバックスコーヒージャパン株式会社の事例

スターバックスは、マニュアルに頼らない接客で知られていますが、その背景には強いエンゲージメントがあります。同社では、従業員(パートナー)同士が賞賛し合う「GAB(グリーン・エプロン・ブック)カード」という仕組みを導入しています。

これは、仲間の素敵な行動を見つけたときに、感謝のメッセージを書いて手渡すというものです。日々の業務の中で互いに認め合い、絆を深める文化が根付いているため、パートナーは会社や仲間に強い愛着を持ち、自律的に最高のサービスを提供しようと努めています。金銭的な報酬だけでなく、心の報酬を大切にしている好例です。

参考:日本の人事部「マニュアルのないスターバックスは、なぜエンゲージメントを高められるのか(前編)

参考:セミナーズ「スターバックスに学ぶ人材育成|従業員が自発的に働く職場の作り方

トヨタ自動車株式会社の事例

日本を代表する企業であるトヨタ自動車も、エンゲージメント向上に注力しています。特徴的なのは、360度フィードバックや上司と部下の対話を重視した評価制度の改革です。

また、「幸せの量産」というミッションを掲げ、従業員自身が幸せでなければ顧客を幸せにできないという考えのもと、働きがいのある職場づくりを推進しています。大企業であっても、一人ひとりの従業員との対話を重視し、理念を共有し続ける姿勢が、強固な組織力の源泉となっています。

参考:トヨタ自動車「統合報告書2024(PDF
参考:電通報「鍵は社員の幸せにあり。トヨタ・コニック・アルファと描くウェルビーイング経営


まとめ

エンゲージメントが低い状態は、組織からのSOSサインです。しかし、原因を正しく理解し、適切な手を打てば、必ず組織は変わり始めます。

この記事の要点をまとめます。


  • エンゲージメントの低さは、報酬への不満ではなく「貢献意欲」や「期待」の欠如が原因である。
  • 主な原因は「ビジョン不明瞭」「評価の実感不足」「心理的安全性欠如」「過重労働」「キャリア不安」の5つ。
  • 改善には、1on1での対話や称賛の仕組み化など、金銭以外の「感情的報酬」を高める施策が有効。

まずは、目の前の部下やチームメンバーとの対話から始めてみてください。「最近どう?」という一声が、組織を変える最初の一歩になるはずです。


<最後に>

当社では「コミュニケーション促進」を含んだ「人を大切にする施策」として、従業員同士が褒めあう制度【Good Gain】や【社内部活動】【1on1ミーティング】等、様々な施策を行っております。是非ご参考にしてみてください。

人財についての取り組み

https://megalos.co.jp/corporate/jinzai_care

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