離職率の平均はどれくらい?業界別の違いや計算方法・改善策を解説
日本の離職率の平均はご存知ですか?本記事では厚生労働省の最新データをもとに、日本企業の平均離職率や業界別・新卒の離職率について詳しく解説します。自社の離職率が高い原因や、定着率を上げるための具体的な改善策も紹介していますので、人事・労務担当者の方はぜひ参考にしてください。
自社の退職者が続き、世間の平均と比べて離職率が高いのか気になっている人事担当者の方へ。この記事では、厚生労働省の最新データをもとに離職率の平均や業界別の傾向を解説します。読み終わると、自社の現状を客観的に把握し、定着率を上げるための具体的な対策が打てるようになります。
1.離職率の平均はどれくらいか
企業の採用活動や人事戦略では、自社の離職率が世間一般と比べて高いか低いかを把握することが重要です。離職率を正しく理解するためには、国が発表する公的なデータを基準にすることが推奨されます。
ここでは、厚生労働省の調査結果をもとに、日本企業における最新の平均データと、自社の数値を算出するための正しい計算方法について詳しく解説します。自社の現状を客観的に評価するための第一歩として、基礎的な知識をしっかりと身につけていきましょう。
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日本企業の離職率の平均値
日本における常用労働者の離職率の平均は、厚生労働省が実施している雇用動向調査から確認することができます。
令和6年の調査によると、日本全国の平均離職率は14.2%でした。前年の令和5年(15.4%)と比較すると1.2ポイント低下しており、近年は概ね14〜16%前後で推移しています。社会情勢の変化や働き方の多様化が進む中でも、この数値は一定の水準を保っていると言えるでしょう。
自社の離職状況に課題を感じている場合は、まずこの14%という数値をひとつの基準として比較してみてください。自社の離職率が14%を大きく上回っている場合は、組織の体制や労働環境に何らかの課題が潜んでいる可能性が高く、早期に原因を究明することが推奨されます。逆に14%を下回っている場合は、比較的定着率が高い良好な状態であると考えられます。
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調査年度 |
常用労働者の離職率平均 |
備考 |
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令和4年 |
15.0% |
経済活動の再開に伴い前年から上昇 |
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令和5年 |
15.4% |
入職・離職ともに活発化し前年比上昇 |
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令和6年 |
14.2% |
前年から1.2ポイント低下し落ち着きを見せる |
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離職率の正しい計算方法
離職率を算出する際、実は法的に定められた絶対的な計算ルールは存在しません。しかし、自社の数値を国の平均データと正確に比較するためには、厚生労働省が用いている計算式に合わせるのが効果的です。
厚生労働省の調査では、1年間の離職者数を1月1日時点の常用労働者数で割り、それに100を掛けるという計算式が採用されています。
常用労働者とは、期間を定めずに雇用されている正社員や、1か月以上の期間を定めて雇用されているパートタイム労働者などを指す言葉です。たとえば、1月1日時点で従業員が100人在籍しており、その年の12月31日までに15人が退職した場合、離職率は15%となります。
対象期間や分母となる従業員数を勝手に変更してしまうと、正確な平均データとの比較ができなくなるため注意してください。まずはこの基本の計算式を用いて、自社の直近数年間の数値を算出し、推移を確認してみることをおすすめします。
参考:厚生労働省「-令和6年雇用動向調査結果の概況-」
2.業界別で見る離職率の平均と傾向
日本全体の平均が14%台であっても、業界によって離職率の傾向は大きく異なる点に注意してください。ビジネスモデルや働き方の性質上、どうしても退職者が多くなりやすい業界がある一方で、長期的に働き続ける人が多い業界も存在します。
ここでは、厚生労働省のデータをもとに、離職率が高い業界と低い業界の特徴を詳しく見ていきます。自社が属する業界の平均値を知ることで、より実態に即した評価が可能になるはずです。
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離職率が高い業界とその理由
業界ごとの離職率平均を比較すると、最も高い数値を示しているのは宿泊業・飲食サービス業やサービス業です。厚生労働省の令和6年の調査では、宿泊業・飲食サービス業の離職率は25.1%と、全体平均(14.2%)を大きく上回る結果となりました。
これらの業界で離職率が高くなる主な理由としては、土日や祝日の勤務が多く、労働時間が不規則になりやすいことが挙げられます。また、顧客と直接接するビジネスであるため、精神的な負担を感じやすいことも要因の一つと言えるでしょう。さらに、繁忙期には一人あたりの業務負荷が極端に増加しやすく、体力的な限界を感じて退職を選ぶ従業員も少なくありません。
こうした業界では、従業員の定着を図るために、シフトの柔軟性を高めたり、休暇を取りやすい環境を整備したりする工夫がより一層求められます。
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離職率が高い主な業界 |
令和6年 離職率 |
高くなる主な要因 |
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宿泊業・飲食サービス業 |
25.1% |
不規則な勤務時間 土日祝日の出勤 |
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生活関連サービス業・娯楽業 |
19.0% |
顧客対応による精神的負担の大きさ |
参考:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況 2 産業別の入職と離職」
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離職率が低い業界とその理由
一方で、従業員の定着率が非常に高く、離職率が低い業界も存在します。
代表的なものとして鉱業・採石業・砂利採取業や電気・ガス・熱供給・水道業といったインフラ関連の業界、そして金融業・保険業などが挙げられます。これらの業界の平均離職率は、令和6年実績で電気・ガス・熱供給・水道業が8.8%、鉱業・採石業等が9.1%など、10%を下回る水準にあります。
インフラ業界や金融業界は、景気の変動による影響を受けにくく、事業基盤が非常に安定しているという特徴を持っています。それに加えて、土日休みなどの休日カレンダーが固定されていることが多く、計画的な休暇を取得しやすい環境が整えられている企業が大半です。
また、勤続年数に応じて給与が安定して上がっていく賃金体系を採用している企業が多く、長期的なキャリアを描きやすいことも、従業員が辞めない大きな理由となっています。事業の安定性と労働環境の良さが、低い離職率を支えている要因と考えられます。
参考:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況 2 産業別の入職と離職」
3.新卒社員・雇用形態ごとの離職率の平均
離職率の傾向を正しく分析するためには、従業員の年代や雇用形態に分けてデータを確認することが重要です。
とくに新入社員の早期離職は、採用・教育コストの損失に直結する深刻な課題です。また、正社員とパートタイム労働者では、働く目的やライフスタイルが異なるため、退職に至る経緯にも違いが見られます。
ここでは、新卒社員と雇用形態別の平均データについて詳しく解説していきます。
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新卒社員の離職率(入社3年以内)の平均
新卒社員の離職状況は、いわゆる「3年3割」という言葉で表現されることが多く、実際のデータも近い水準で推移しています。
厚生労働省が発表している新規学卒就職者の離職状況(令和7年10月公表/令和4年3月卒業者対象)によると、大学を卒業して就職した新入社員が3年以内に離職する割合は33.8%となっています。この数値は長年にわたって大きな変化を見せておらず、多くの企業が若手人材の定着に苦労していることがわかるはずです。
入社からわずかな期間で退職してしまう背景には、入社前に抱いていた期待と実際の業務内容や社風との間に生じるギャップが存在します。また、学生から社会人への急激な環境変化に適応できず、メンタル不調に陥ってしまうケースも後を絶ちません。
企業側には、採用時の丁寧な情報提供だけでなく、入社後の定期的な面談やメンター制度の導入など、新入社員の不安を解消するためのきめ細やかなフォローアップが強く求められています。
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卒業年 |
大学卒の3年以内離職率 |
短大卒の3年以内離職率 |
高校卒の3年以内離職率 |
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令和2年 |
32.3% |
42.6% |
37.0% |
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令和3年 |
34.9% |
44.6% |
38.4% |
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令和4年 |
33.8% |
44.5% |
37.9% |
参考:新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)を公表します|厚生労働省
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正社員とパートタイム労働者の離職率の違い
雇用形態による違いに目を向けると、一般労働者とパートタイム労働者の間には明確な差が存在することがわかります。
一般労働者とは主に正社員を指し、その平均離職率は近年11〜12%台で推移している状況です。一方で、パートタイム労働者の平均離職率は20%台前半(令和6年は21.4%)と、一般労働者を上回る水準で推移しています。
この違いの背景には、パートタイム労働者が家庭の事情や配偶者の転勤、子どもの成長といったライフスタイルの変化に合わせて、柔軟に職場を変える傾向があることが挙げられるでしょう。また、正社員と比較して責任の重さやキャリアの展望が見えにくいことも、定着率が上がりにくい原因の一つと言えます。
自社の離職率を分析し対策を打つ際には、正社員とパートタイム労働者のデータを混同せず、それぞれの雇用形態に合わせた働き方の整備や待遇改善を進めることが重要です。
4.離職率が平均よりも高くなる主な原因
自社の離職率が平均を上回っている場合、そこには何らかの原因が隠れていると考えられます。従業員が会社を辞める決断を下す背景には、日々の業務の中で蓄積された不満や、将来に対する不安が存在しています。退職理由の多くは、労働環境や待遇面の問題と、職場の人間関係や評価制度への不満に大別される傾向にあります。
ここでは、離職を引き起こす主な原因について詳しく紐解いていきましょう。これらの原因を理解することが、効果的な改善策を打つための第一歩となります。
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労働環境や待遇に対する不満
従業員が職場を離れる最も直接的な原因となるのが、労働環境や給与などの待遇面に対する不満と言えるでしょう。
毎日のように長時間の残業が続いたり、有給休暇が自由に取得できない環境であったりすると、従業員は心身ともに大きな疲労を感じてしまいます。疲労が蓄積すると、健康を損なうリスクが高まるだけでなく、仕事へのモチベーションも著しく低下していくものです。
さらに、自分の労働量や成果に見合った適切な給与が支払われていないと感じた場合、従業員はより良い条件を求めて他社への転職を考え始めます。競合他社と比較して自社の給与水準が低い場合や、福利厚生が十分に整っていない場合は、優秀な人材から順に流出してしまう恐れを抱えることになります。
企業側には、残業時間の適正な管理や、時代に合わせた柔軟な働き方の導入、納得感のある報酬体系の整備が求められます。
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離職の原因となる要素 |
従業員が抱く不満の具体例 |
企業が直面するリスク |
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労働時間の長さ |
毎日終電で帰りプライベートの時間がない |
心身の不調による休職や突発的な退職 |
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休暇の取りにくさ |
人手不足で有給休暇の申請をためらってしまう |
疲労の蓄積による業務パフォーマンスの低下 |
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給与・待遇の低さ |
成果を出しても給与に反映されず報われない |
優秀な人材の競合他社への流出 |
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職場の人間関係や評価制度への不信感
労働環境と並んで離職の大きな引き金となるのが、職場の人間関係の悩みや、会社の人事評価に対する不信感です。
業務そのものにはやりがいを感じていても、上司とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、職場の雰囲気が悪かったりすると、従業員は強いストレスを感じるようになります。気軽に相談できる同僚がいない孤立した状況は、早期退職につながりやすい注意すべきサインといえます。
また、人事評価の基準が曖昧で、自分がなぜその評価を受けたのかがわからない状態が続くと、従業員は会社に対する信頼を失ってしまいます。上司の好き嫌いで評価が決まっているように見えたり、どれだけ努力しても昇進の道筋が見えなかったりすることは、仕事への熱意を奪う大きな要因と言えるでしょう。
公平で透明性の高い評価制度を構築し、定期的なフィードバック面談を通じて納得感を高めることが、定着率向上につながると考えられます。
5.離職率を平均以下に抑えるための具体的な対策事例
離職率が高い原因を特定できた後は、それを解消するための具体的な行動を起こす段階に入ります。しかし、どこから手をつければよいのか迷う人事担当者も多いはずです。
ここでは、深刻な離職問題に直面しながらも見事に数値を改善し、従業員が定着する組織を作り上げた企業の事例をいくつか紹介します。他社の成功事例から自社に応用できるエッセンスを学び、実践的な対策を検討していきましょう。
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サイボウズ株式会社:離職率28%から4%へ改善した働き方改革
離職率を劇的に改善した代表的な事例として、ソフトウェア開発を手掛けるサイボウズ株式会社の取り組みが挙げられます。
同社では2005年当時、長時間労働が常態化し、離職率が28%に達するという深刻な組織課題を抱えていました。採用してもすぐに辞めてしまう状況に危機感を抱いた経営陣は、人事制度を根本から見直す決断を下しました。
その中核となったのが、「100人100通りの働き方」という独自の考え方です。
従業員一人ひとりのライフステージや事情に合わせて、働く時間や場所を選択できる制度を導入・運用しました。育児や介護のための短時間勤務や、出社を前提としないリモートワークを推進した結果、自分に合った働き方を実現できる環境が整いました。この働き方改革により、近年の離職率(単体)はおおむね3〜7%台で推移し、直近の2025年実績は4.36%となっています。
参考:離職率28%、採用難、売上低迷。ボロボロから挑んだサイボウズのハイブリッドワーク10年史|THE HYBRID WORK サイボウズのハイブリッドワーク専門メディア
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エターナルホスピタリティグループ:一体型のフォロー体制を構築
鳥貴族などを展開する株式会社エターナルホスピタリティグループでは、かつて入社1年目の離職率が約25%という課題を抱えていました。そこで同社は、面接を担当した人財部のメンバーが入社後1年間店舗を訪問してフォローする仕組みを構築しました。
さらに、月1回の簡易アンケートを活用してコンディションが低下している社員を優先的に訪問する体制も整えています。単に新入社員の不満を聞くだけでなく、上司と部下の間に立って関係の橋渡しを行い、コミュニケーションの改善につなげているのが特徴です。この結果、現在は定着率88%を達成しています。
まとめ
この記事の要点をまとめます。
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自社のデータを客観的に見つめ直し、従業員が安心して長く働き続けられる職場環境づくりにぜひ取り組んでみてください。
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