パワハラ対策とは?企業に義務化された防止法の内容と具体的な事例
パワハラ防止法によりすべての企業でパワハラ対策が義務化されています。本記事では、厚生労働省の指針に基づく4つの義務的措置から、実際に企業が取り組むべき7つのステップ、他社の成功事例まで詳しく解説します。人事・労務担当者必見の実務マニュアルです。
自社のパワハラ対策が法律の基準を満たしているか不安を感じている人事担当者の方に向けて、具体的な対策手順を解説します。
この記事では、厚生労働省の指針に基づく企業の義務と実務的な対応策を網羅しました。最後までお読みいただくことで、法務リスクを回避し、従業員が安心して働ける職場環境を構築できます。
1.パワハラ対策がすべての企業で義務化
かつて企業の自主的な努力に委ねられていたパワハラ対策は、法改正によって今や事業主の明確な法的義務となりました。すべての企業が対応を求められている現在、「うちの会社は大丈夫だろう」という認識は通用しません。まずここでは、この義務化の背景と全体像を把握することで、自社の対策が法的な土台の上に立っているかを確認します。
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対象となる企業規模 |
義務化の適用時期 |
根拠となる法律 |
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大企業 |
2020年6月1日 |
改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法) |
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中小企業 |
2022年4月1日 |
改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法) |
2020年6月に大企業を対象として施行された改正労働施策総合推進法により、職場におけるパワーハラスメント防止措置が事業主に義務付けられました。その後、2022年4月からは中小企業に対しても適用が拡大され、現在では企業規模を問わずすべての企業で対策が必須となっています。
この法律は一般にパワハラ防止法と呼ばれており、職場の優越的な関係を背景とした不適切な言動を防ぐことを目的としています。労働者が安心して働ける環境を整備することは、企業の持続的な成長において重要な課題と言えます。
参考:厚生労働省「労働施策総合推進法に基づく『パワーハラスメント防止措置』が中小企業も義務化されます!」
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パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)の概要
パワハラ防止法は、事業主に対して職場におけるパワーハラスメントを防止するための雇用管理上の措置を講じることを義務付けた法律です。
これまでは企業の自主的な努力に委ねられていた対策が、明確に法的義務として定められました。具体的な措置を講じない場合、ただちに直接的な罰則が科されるわけではないものの、行政からの指導や勧告の対象となる可能性があります。
さらに、悪質なケースでは企業名が公表される可能性もあり、社会的な信用の失墜を招きかねません。そのため、法令を遵守し、組織全体でハラスメントを許さない体制を早期に構築することが求められます。
参考:労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律 | e-Gov 法令検索
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パワハラの定義と厚生労働省が定める6つの類型
職場におけるパワーハラスメントは、優越的な関係を背景とした言動であり、業務上必要かつ相当な範囲を超え、労働者の就業環境が害されるものと定義されています。厚生労働省は、パワハラの代表的な行為を6つの類型に分類して明示しています。
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パワハラの類型 |
概要 |
具体的な行動のイメージ |
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身体的な攻撃 |
暴行や傷害など身体的な苦痛を与える行為 |
物を投げつける、殴る蹴るなどの暴行を加える |
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精神的な攻撃 |
脅迫や名誉毀損、ひどい暴言を吐く行為 |
人格を否定する発言、他の社員の前で大声で叱責する |
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人間関係からの切り離し |
職場内で特定の人物を孤立させる行為 |
一人だけ別室に隔離する、意図的にコミュニケーションを取らない |
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過大な要求 |
遂行不可能な業務を強制する行為 |
経験のない業務を一人で無理に終わらせるよう強要する |
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過小な要求 |
業務上の合理性なく程度の低い仕事を命じる行為 |
専門職の社員に草むしりや掃除のみを一日中命じる |
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個の侵害 |
私的な事柄に過度に立ち入る行為 |
交際相手や家族について執拗に詮索する |
これら6つの類型はあくまで代表的なものであり、これらに該当しない場合でもパワハラと判断されるケースは存在します。したがって、各企業は自社の業務特性に合わせて、どのような言動がハラスメントに該当するのかを慎重に検討する必要があります。
参考:厚生労働省「労働施策総合推進法に基づく『パワーハラスメント防止措置』が中小企業も義務化されます!」
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対策を怠った場合の企業リスク
パワハラ対策を怠った場合、企業はさまざまな深刻なリスクに直面します。
被害を受けた従業員が心身の健康を損ない、休職や退職に追い込まれることで、貴重な人材を失う結果につながります。また、職場全体の士気が低下し、業務の生産性が著しく悪化することも避けられません。
さらに、被害者から安全配慮義務違反として損害賠償を請求される訴訟リスクも高まります。裁判に発展すれば、多額の賠償金だけでなく、報道などを通じて企業ブランドに計り知れないダメージを与えることになります。
2.企業に義務付けられた4つのパワハラ防止措置
法律が定める義務は抽象的に見えても、厚生労働省の指針では企業が取るべき行動が4つの具体的な柱として整理されています。重要なのは、これらを「書類上の制度」として形式的に揃えるだけでなく、実際に社内で機能させることです。
ここでは各措置の目的と期待される効果を押さえ、自社の取り組み状況を点検するための判断軸を身につけます。
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義務付けられた措置の項目 |
企業が講ずべき具体的な内容 |
期待される効果 |
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方針の明確化と周知・啓発 |
トップのメッセージ発信や就業規則への記載を行う |
組織全体のハラスメントに対する意識向上 |
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相談体制の整備 |
社内外に窓口を設置し、担当者が適切に対応できる仕組みを作る |
被害の早期発見と深刻化の防止 |
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事後の迅速かつ適切な対応 |
事実関係を正確に確認し、被害者への配慮と行為者への措置を行う |
トラブルの早期解決と再発防止 |
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プライバシー保護と不利益取扱いの禁止 |
相談内容の秘密を守り、相談を理由に不遇な扱いをしないことの周知 |
従業員が安心して相談できる環境の確保 |
厚生労働省の指針では、パワハラ防止法に基づいて企業が講ずべき具体的な措置を4つの項目として定めています。これらの措置は、単に書類上で制度を作るだけでなく、実際に社内で機能させることが重要です。適切に運用することで、企業は法的義務を果たすとともに従業員からの信頼を獲得することができます。
参考:厚生労働省「労働施策総合推進法に基づく『パワーハラスメント防止措置』が中小企業も義務化されます!」
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事業主の方針の明確化と周知・啓発
パワハラを防止するためには、まず事業主がハラスメントを許さないという強い意志を明確に示し、それを全従業員に周知することが第一歩となります。経営トップが自らの言葉でメッセージを発信することで、組織全体の意識を変革する効果があります。
また、就業規則や服務規程にパワハラを許さない方針を反映させ、社内に明示することも求められます。具体的なルール策定の手順は後述します。社内ポータルサイトや定期的な朝礼などを通じて、どのような言動がパワハラに該当するのかを繰り返し啓発し続ける姿勢が重要です。
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相談に応じ適切に対応するための体制整備
従業員がパワハラの被害に遭った場合、あるいは周囲で不適切な言動を目撃した場合に、すぐに相談できる窓口を設置することが義務付けられています。
相談窓口は人事部などの社内だけでなく、外部の専門機関や弁護士事務所などに委託することも有効な手段となります。
相談窓口の担当者は、相談者の心身に配慮して話を聞き、客観的な事実関係を把握できるよう、適切な訓練を受けておく必要があります。相談が寄せられた際の対応手順については、フローを明確に定めておくことが実務上重要です。
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パワハラ事案に対する事後の迅速かつ適切な対応
実際にパワハラの相談があった場合は、迅速に事実関係の調査を開始しなければなりません。
相談者と行為者の双方から丁寧にヒアリングを行い、必要に応じて第三者からの証言も集めることで、客観的な事実を認定します。
パワハラがあったと確認された場合は、被害者に対するメンタルケアや配置転換などの配慮を行うとともに、行為者に対しては就業規則に基づく厳正な処分を行うことが求められます。
そして、同じような事案が二度と起きないよう、全社的な再発防止策を策定し実行に移すことが求められます。
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相談者や行為者のプライバシー保護と不利益取扱いの禁止
相談窓口を有効に機能させるためには、相談した従業員が不利益を被らないことを確実に保証する必要があります。
相談内容や関係者のプライバシー情報は厳重に管理し、調査に関わる限られた担当者以外には漏洩しない仕組みを構築します。
また、会社にパワハラの事実を申告したことを理由に、解雇や降格、減給といった不利益な取り扱いを行うことは法律で固く禁じられています。この方針を社内に広く周知することで、従業員は報復を恐れることなく安心して窓口を利用できるようになります。
3.企業が取り組むべき具体的なパワハラ対策7つのステップ
法律の義務内容を理解した次の課題は、「では実際に何から手をつけるか」という実行フェーズです。場当たり的に施策を打つのではなく、順序立てて体系的に進めることが、実効性ある対策への近道となります。
ここでは現場の人事担当者がそのまま活用できるよう、取り組みの優先順位とポイントを7つのステップに整理して解説します。
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ステップの順序 |
取り組みの概要 |
実務上のポイント |
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1. トップのメッセージ発信 |
経営層から全社員へ方針を宣言する |
経営者の強い覚悟を自らの言葉で伝える |
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2. 社内ルールの策定 |
就業規則に罰則や対応手順を明記する |
専門家のアドバイスを受けながら法的に整える |
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3. 実態の把握 |
全社アンケートなどで現状を調査する |
匿名性を確保し本音を引き出しやすくする |
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4. 教育研修の実施 |
階層別に適切な知識とスキルを身につけさせる |
定期的に反復して実施し意識を定着させる |
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5. 周知徹底 |
ポスターや社内報などで方針を共有する |
日常的に目に入る場所へ掲示して意識を高める |
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6. 相談体制の構築 |
相談窓口を設置し対応マニュアルを作成する |
相談しやすいよう社外窓口の併設も検討する |
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7. 継続的な環境改善 |
発生した事案を分析し再発防止に繋げる |
定期的に対策の効果を検証し制度を見直す |
厚生労働省が公表しているマニュアルなどを参考に、企業が実際にパワハラ対策を導入する際の具体的なステップを整理しました。計画的かつ順序立てて進めることで、実効性のある体制を構築できます。これらのステップを一度実施して終わりにするのではなく、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善していくことが大事です。
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トップのメッセージ発信と方針の決定
最初のステップは、経営トップが組織全体に向けてパワハラ撲滅の強い決意を表明することです。社長自身が社内報や全社会議の場で、私たちの職場からハラスメントをなくすと明確に宣言することで、施策に対する説得力が大きく増します。
このメッセージには、なぜ対策が必要なのかという背景や、すべての従業員が互いに尊重し合う職場を目指すという前向きなビジョンを盛り込むと効果的です。トップの姿勢が明確になることで、現場の管理職も指導や対策に動きやすくなります。
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就業規則など社内ルールの策定
次に、パワハラを防止するための具体的なルールを就業規則に落とし込みます。
どのような行為がパワハラに該当するのかを定義し、禁止事項として明確に記載します。さらに、違反が発覚した際の懲戒処分の種類や基準、相談が寄せられたときの調査手順などを詳細に規定しておく必要があります。
ルールを明文化することで、万が一トラブルが発生した際にも、会社として一貫性のある適切な対応をとることが可能となります。就業規則の変更後は、必ず労働基準監督署への届出と従業員への周知を行います。
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アンケートなどによる社内の実態把握
自社の現状を正確に把握するために、従業員に対するアンケート調査を実施します。過去にハラスメントを受けた経験があるか、周囲で見聞きしたことはあるか、相談しやすい環境が整っているかなどを質問項目に含めます。
このとき、回答者が特定されて不利益を被るのではないかという不安を取り除くため、完全な匿名制を採用することが不可欠です。外部のシステムや調査機関を利用して、会社側には個人情報が渡らない仕組みを構築すると、より率直な意見を集めやすくなります。
【関連記事】エンゲージメントサーベイで本音を引き出す質問項目とは?設計のポイントを紹介
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管理職および一般社員向け教育研修の実施
パワハラに関する正しい知識を身につけさせるため、全従業員を対象とした教育研修を実施します。研修は、管理職向けと一般社員向けに分けて行うのが効果的です。
管理職に対しては、適切な業務指導とパワハラの違いや、部下との効果的なコミュニケーション手法を中心に指導します。一般社員に対しては、パワハラの定義や相談窓口の利用方法、自身が加害者にならないための注意点などを伝えます。一度だけでなく、定期的に開催することで組織の意識レベルを高く保つことができます。
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イントラネットやポスターを活用した周知徹底
策定したルールや相談窓口の存在を、日常的に従業員の目にとまる形で周知し続けます。
社内のイントラネットに専用ページを設けてガイドラインを掲載したり、休憩室や更衣室に啓発ポスターを掲示したりする取り組みが有効です。
ポスターには相談窓口の電話番号やメールアドレスを大きく記載し、困ったときにすぐアクセスできるように工夫します。新入社員が入社した際や、異動の時期に合わせて改めて案内を配布するなど、タイミングを捉えた情報発信も効果を高めます。
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社内外の相談窓口の設置と運用ルールの確立
従業員が安心して声を上げられるよう、相談窓口の体制を構築します。人事部門やコンプライアンス委員会のメンバーを社内窓口の担当者とするほか、顧問弁護士や外部の支援プログラム機関に委託する社外窓口を設けることが望ましい対応です。相談を受けた際の初期対応の手順、事実確認の進め方、経営層への報告ルートなどを記した対応マニュアルを事前に作成しておきます。窓口の担当者には、傾聴のスキルやプライバシー保護に関する専門的な研修を受講させることが推奨されます。
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再発防止策の策定と継続的な環境改善
相談窓口に寄せられた事案や、アンケート調査で明らかになった問題点を分析し、職場環境の改善につなげます。
パワハラが発生しやすい部署には、長時間労働などの構造的な問題が潜んでいるケースも少なくありません。業務量の偏りを見直したり、人員配置を調整したりといった根本的な解決策を探る必要があります。
また、年に一度はハラスメント対策委員会のメンバーが集まり、現在の取り組みが機能しているかを評価し、必要に応じてマニュアルや研修内容をアップデートしていく継続的な努力が求められます。
4.企業のパワハラ対策の成功事例
制度や手順を頭で理解していても、「自社で本当にうまくいくのだろうか」という不安は残るものです。そこで参考になるのが、実際に対策を実行し職場環境の改善に結びつけた企業の事例です。自社の課題に近いヒントを見つけ、施策導入のイメージをより具体的に描くことができます。
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製造業Q社の事例:社外専門家を招いた継続的な研修の実施
愛知県にある従業員数約250名の製造業(Q社)では、過去にハラスメントを原因とするトラブルが発生したことを契機に、本格的な対策に乗り出しました。
厚生労働省の「中小企業における職場のパワーハラスメント対策の好事例」として紹介されているこの事例では、就業規則にハラスメント禁止規定を盛り込んだ上で、弁護士や損害保険会社、労働基準協会などの専門家を講師として招き、10年間で5回ほどの研修を実施しています。 外部の第三者から客観的な指導を受けることで、社員に何がパワハラに該当するのかという正しい認識が定着し、職場内の意識が明らかに良い方向へ変化したと報告されています。
参考:厚生労働省「中小企業における職場のパワーハラスメント対策の好事例」
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製造業J社の事例:アンケート調査の継続実施と結果の全社公表
厚生労働省の「中小企業における職場のパワーハラスメント対策の好事例」には、兵庫県にある従業員数約290名の製造業J社の取組みも紹介されています。
同社ではハラスメント対策において「予防」を最重視し、約10年前からアンケート調査を毎年実施しています。アンケートは選択式と記述式で構成され、個別相談の希望も確認できる仕組みです。さらに分析結果を全社に公表し、社員からの問いに対して会社としての見解を丁寧に示すことで、ハラスメントに対する共通認識の醸成と理解浸透が進んでいると報告されています。
5.パワハラ対策に関するよくある疑問
制度の整備を進めていくなかで、実務の担当者ほど「これはどう判断すればいいのか」と迷う場面が出てきます。特に指導とパワハラの線引きや、グレーゾーンへの対処は、知識があっても判断に悩みやすい領域です。
ここでは現場でよく生じる疑問を取り上げ、誤った対応によるリスクを避けるための考え方の軸を提示します。
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よくある疑問 |
結論と対応の方向性 |
留意すべきポイント |
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指導とパワハラの違いは? |
業務上の必要性と手段の妥当性で判断する |
相手の人格を否定する発言は明確なパワハラとなる |
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相談窓口の担当者は誰が良いか? |
客観的な視点を持てる人事や労務、コンプライアンス部門の担当者 |
相談しやすいよう複数名、男女両方を配置する |
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グレーな事案にはどう対応する? |
放置せず当事者双方から丁寧に話を聴く |
結論を急がず、職場環境の改善に焦点を当てる |
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業務上の適切な指導とパワハラの違いはどこにあるか
管理職から多く寄せられるのが、部下への厳しい指導がパワハラと受け取られないかという不安です。
厚生労働省の定義にある通り、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導はパワハラには該当しません。遅刻を繰り返す社員に注意を与えたり、ミスを改善するための具体的な指示を伝えたりすること自体は、正当な職務行為です。
ただし、その際に人格を否定するような暴言を吐いたり、他の社員が見ている前で長時間にわたり執拗に叱責したりする行為は、相当な範囲を逸脱していると判断されパワハラとなります。指導の目的が相手の成長や業務改善にあるのか、単なる感情の爆発になっていないかを常に振り返ることが大切です。
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相談窓口には誰を配置すべきか
社内の相談窓口担当者には、従業員から信頼され、客観的かつ公平な立場で話を聴ける人物を選任する必要があります。一般的には、人事部、労務部、コンプライアンス部門のスタッフが適任とされます。
相談者が異性の担当者には話しにくいと感じるケースも多いため、男女両方の担当者を配置することが望ましい体制です。また、窓口担当者自身が対応に悩んだ際に相談できる顧問弁護士や産業医との連携体制も重要です。
社内の人間には知られたくないという従業員の心理に配慮し、外部の相談機関を併用することで、より多くの声を取りこぼさずに拾い上げることが可能となります。
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パワハラか判断に迷うグレーな事案への対応方法
相談窓口に寄せられる事案のなかには、明らかに違法なパワハラとは言い切れないものの、当事者間に強い軋轢が生じているグレーなケースが少なくありません。
このような場合、パワハラではないから会社は介入しないと放置するのは望ましくありません。放置すれば対立が深刻化し、メンタルヘルス不調や離職を引き起こす原因となります。
会社としては白黒の判定を下すことに固執せず、まずは双方の言い分を丁寧にヒアリングします。その上で、コミュニケーションの行き違いを解きほぐすための仲介に入ったり、業務の進め方を見直したりといった、働きやすい職場環境を取り戻すための建設的なサポートを行うことが求められます。
まとめ
この記事の要点をまとめます。
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パワハラ対策は、単なる法令遵守の義務にとどまらず、従業員の心身の健康を守り、組織の生産性を高めるための重要な経営課題です。自社の状況に合わせた無理のないステップから着手し、誰もが安心して能力を発揮できる健全な職場環境の実現に向けて、継続的な取り組みを進めていきましょう。
<最後に>
今後健康経営優良法人認定の取得を進めるのであれば、認定取得を強力にサポートする【ALWEL(オルウェル)】というサービスをリリースしております。 ご興味ありましたら是非ご確認ください。


