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プレゼンティーズムとは?原因から測定方法・企業の対策事例まで解説

従業員が出社していても本来のパフォーマンスを発揮できていない状態でお悩みですか?本記事では、プレゼンティーズムの定義やアブセンティーズムとの違い、経済的損失の大きさから具体的な測定方法・企業事例までをわかりやすく解説します。

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従業員が出社はしているものの、なんとなく体調が悪そうで本来のパフォーマンスを発揮できていないと悩んでいる人事担当者の方に向けて解説します。

この記事では、プレゼンティーズムの定義から測定方法、具体的な対策や企業事例までを順を追ってお伝えします。読み終わると、自社の生産性を低下させている見えない損失を把握し、具体的な改善策に向けて動き出せるようになります。

1.プレゼンティーズムとは

「プレゼンティーズム」という言葉を耳にする機会が増えましたが、正確な意味をご存知でしょうか。ここでは、プレゼンティーズムの基本的な定義や、対義語である「アブセンティーズム(欠勤や遅刻などで職場にいない状態)」との決定的な違いについて解説します。

まずは健康経営の土台となる正しい知識を身につけましょう。

プレゼンティーズムの定義

プレゼンティーズムとは、従業員が心身に何らかの不調を抱えたまま出勤し、本来のパフォーマンスを発揮できていない状態のことです。WHO(世界保健機関)によって提唱された健康問題に起因するパフォーマンスの損失を表す指標として知られています。

日本語では疾病就業と訳されることもあり、花粉症や肩こり、軽い抑うつ状態など、休むほどではないものの業務に支障が出る症状が含まれます。近年は健康経営の観点から、この見えない生産性低下を防ぐことが多くの企業で急務となっています。従業員が机に向かっていても、集中力が欠如していれば期待する成果は得られません。そのため、勤怠管理だけでは把握しきれない健康課題として注目されています。

【関連記事】健康経営戦略マップの作り方!5つのステップで解説、事例も紹介

アブセンティーズムとの違い

プレゼンティーズムと対になる概念として、アブセンティーズムという言葉が存在します。アブセンティーズムは、健康問題が理由で遅刻や早退、あるいは欠勤をしており、職場に不在である状態を指します。両者の明確な違いは、従業員が職場に出勤しているかどうかという点にあります。


項目

プレゼンティーズム

アブセンティーズム

職場の状態

出勤しているがパフォーマンス低下

欠勤・遅刻・早退などで不在

勤怠管理の容易さ

表面化しにくく把握が困難

勤怠データとして明確に把握可能

主な症状の例

肩こり

花粉症

睡眠不足

軽度のストレス

重篤な感染症

うつ病による休職

大きな怪我

企業への影響

潜在的な経済的損失が非常に大きい

業務の穴埋めなど直接的な対応が必要


このように比較すると、アブセンティーズムは可視化されやすいため対処しやすい傾向にあります。一方でプレゼンティーズムは周囲が気づきにくく、長期間放置されることで結果的にアブセンティーズムへと悪化するリスクを孕んでいます。

そのため、企業は出勤している従業員の隠れた不調にも目を向ける必要があります。


2.プレゼンティーズムが企業にもたらす影響

従業員が出社しているからといって、安心できるわけではありません。プレゼンティーズムは「目に見えない生産性低下」を引き起こし、企業に莫大な経済的損失をもたらします。

ここでは、パフォーマンスの低下がどのようにコストへ直結するのか、そして放置することで高まる休職や離職といった深刻なリスクについて解説します。

目に見えない労働生産性の低下

プレゼンティーズムが企業にもたらす最大の懸念は、労働生産性の大幅な低下です。体調不良を抱えながら業務を行うと、判断力の低下やミスの増加を招き、健康な状態のときと同じ成果を出すことは難しくなります。

経済産業省の資料等でも指摘されている通り、従業員の健康関連コスト全体の中で、医療費や欠勤による損失よりも、プレゼンティーズムによる間接的なコストの方がはるかに大きいとされています。

出勤しているから大丈夫だと安心するのではなく、生産性の観点から見直すことが求められます。

参考:経済産業省「企業の『健康経営』ガイドブック(PDF)」

休職や離職につながるリスク

不調を我慢して働き続けることは、従業員の心身をさらに追い詰める結果につながります。

プレゼンティーズムの状態が慢性化すると、モチベーションや従業員エンゲージメントが低下し、最終的には深刻な休職や離職を引き起こす可能性が高まります。


影響の段階

具体的なリスクや生じる問題

企業側の対応の難易度

初期段階

集中力の低下

軽微なミスの増加

業務スピードの遅延

比較的容易(声かけや小休憩の推奨など)

中期段階

エンゲージメントの低下

周囲への業務負担のしわ寄せ

やや困難(面談や業務量の調整が必要)

後期段階

長期休職の発生

退職者の増加

採用・教育コストの増大

非常に困難(人員補充や組織の再構築が必要)


表に示した通り、初期段階で適切なフォローができなければ、企業は多大なコストを支払うことになります。休職者や退職者が増えることで残された従業員の負担が増加し、連鎖的に新たなプレゼンティーズムを生み出すという悪循環に陥る危険性があります。

したがって、早期発見とケアが組織を守るための鍵となります。


3.プレゼンティーズムを引き起こす主な原因

なぜ従業員は本来のパフォーマンスを発揮できなくなってしまうのでしょうか。

その背景には、肩こりや睡眠不足といった身体的な不調だけでなく、見過ごされがちなメンタルヘルスの悪化が潜んでいます。さらに、長時間労働や休暇の取りにくさなど、職場環境そのものが引き金となるケースも少なくないため、主な原因を詳しく紐解きます。

身体的な不調と疾病

プレゼンティーズムの原因として多く見られるのが、慢性的な身体の不調です。

具体的には、腰痛や肩こり、眼精疲労、花粉症などのアレルギー症状、そして偏頭痛などが該当します。これらは命に関わる重篤な病気ではないため、多くの従業員は休むことなく出社して業務を続けようとします。しかし、痛みや不快感が気になって仕事に没頭できず、結果として作業効率が著しく低下してしまいます。

メンタルヘルスの悪化

身体的な症状だけでなく、心の不調も大きな原因となります。

職場の人間関係による悩みや、業務のプレッシャーに対する強いストレス、睡眠障害などが重なると、創造力や判断力が鈍ってしまいます。メンタルヘルスの問題は外見からは分かりにくいため、本人が一人で抱え込んでしまうケースも珍しくありません。

周囲が気づかないうちに症状が進行し、取り返しのつかない状況になる前にサポートできる体制が重要です。

【関連記事】メンタルヘルス対策は何から始める?企業の義務と効果的な4つのケアを解説

職場環境や長時間労働の影響

従業員個人の問題だけでなく、企業側の管理体制が原因となることもあります。慢性的な長時間労働や、有給休暇を取得しにくい職場の雰囲気は、従業員から十分な休息を奪い、疲労を蓄積させます。


原因の分類

具体的な要因の例

企業が介入できるアプローチ

身体的要因

肩こり

腰痛

眼精疲労

花粉症

睡眠不足

エルゴノミクスに配慮した備品の導入

健康診断の徹底

心理的要因

人間関係のストレス

業務プレッシャー

軽度の抑うつ

1on1ミーティングの実施

相談窓口の設置

環境的要因

長時間労働

休暇の取りにくさ

オフィスの不快な温度

業務量の平準化フレックスタイム制の導入

空調管理


このように、職場環境そのものがプレゼンティーズムを誘発している場合、個人の努力だけでは解決できません。企業は自社の労働環境を客観的に見直し、従業員が健康的に働ける仕組みを整える責任があります。


4.プレゼンティーズムの代表的な測定方法

見えにくいプレゼンティーズムへの対策を打つには、まず自社の現状を客観的な数値として把握することが第一歩です。しかし、「どのように測ればいいのか分からない」という担当者の方も多いでしょう。

ここでは、WHO-HPQや東大1項目版、SPQといった、多くの企業や健康経営度調査で採用されている代表的な測定方法を紹介します。

WHO-HPQ(世界保健機関の質問紙)

プレゼンティーズムを定量的に把握するための代表的な手法として、WHO-HPQが挙げられます。これはハーバード大学の医学部が世界保健機関(WHO)と共同で開発した質問紙で、従業員自身の絶対的なパフォーマンスと、他者と比較した相対的なパフォーマンスの両方を評価できる点が特徴です。

国際的な基準として多くの企業で採用されていますが、自己評価が控えめな傾向にある日本人の場合、結果の解釈には少し注意を払う必要があります。

参考:Health and Work Performance Questionnaire (HPQ)

SPQ(東大1項目版/単項目プレゼンティーズム質問票)

より手軽に測定したい場合に適しており、近年注目を集めているのがSPQSingle-Item Presenteeism Question:東大1項目版)です。これは東京大学のワーキンググループによって開発された指標で、病気やケガがないときのパフォーマンスを100%とした場合、過去4週間の自身のパフォーマンスが何%だったかをひとつの質問で回答する形式です。

ライセンスフリーで利用できるため、コストをかけずに自社の状態を見える化したいと考える企業にとって、非常に導入しやすいツールとなっています。


測定手法

特徴とメリット

留意点やデメリット

WHO-HPQ

国際的な基準であり、多角的な評価が可能

質問数が多く回答の負担がやや大きい、自己評価のブレが出やすい

SPQ(東大1項目版)

1つの質問で済むため回答率が高く、頻繁な調査に向く。ライセンスフリーで導入しやすい

単一の質問であるため、不調の具体的な原因までは特定しにくい(詳細分析には追加の調査が必要)


表にある通り、SPQ(東大1項目版)は従業員への負担が少なく、定期的なパルスサーベイなどに組み込みやすいという強みがあります。一方で、具体的な原因分析には別のヒアリングや追加の調査を組み合わせるなどの工夫が求められます。

参考:SPQ | The Single-Item Presenteeism Question


5.企業が取り組むべきプレゼンティーズム対策

自社の課題が可視化できたら、次はいよいよ具体的なアクションに移りましょう。

プレゼンティーズムを改善するためには、テレワークやフレックスといった柔軟な働き方の導入に加え、従業員自身のセルフケア支援が欠かせません。さらに、ストレスチェックを効果的に活用し、不調を未然に防ぐための実践的な対策方法を解説します。

柔軟な働き方の導入と労働環境の改善

プレゼンティーズムを改善するためには、従業員が体調に合わせて無理なく働ける環境を整備することが効果的です。

テレワークやフレックスタイム制を導入することで、通勤による疲労を軽減し、それぞれのライフスタイルに合った働き方を実現できます。また、長時間労働の是正に取り組むことは、睡眠時間の確保やストレス軽減に直結します。

従業員の健康リテラシー向上とセルフケア支援

従業員自身が健康に関する正しい知識を持ち、日々のセルフケアを実践できるように支援することも重要です。企業主導でメンタルヘルスケアや食事・運動に関するセミナーを定期的に開催し、健康への意識を高める機会を提供しましょう。


対策のアプローチ

具体的な施策の例

期待できる主な効果

働き方の柔軟化

テレワークの導入

フレックスタイム制

時間休の許可

疲労の蓄積防止

通勤ストレスの軽減

ワークライフバランスの向上

セルフケア支援

睡眠改善セミナーの開催

健康的な食事補助の提供

従業員の健康意識の向上

生活習慣の改善による慢性的な不調の予防

管理職の育成

ラインケア研修の実施

1on1のスキル向上

部下の不調の早期発見

心理的安全性の高い職場づくり


表にまとめたように、企業からの情報提供だけでなく、福利厚生として健康的な食事の補助やフィットネス施設の利用サポートなどを取り入れることで、より具体的な行動変容を促すことができます。

【関連記事】福利厚生でジムを導入する効果は?失敗しない選び方と税制面を解説

ストレスチェックの活用と早期の面談対応

法律で義務付けられているストレスチェックを、単なる法令遵守のツールで終わらせず、プレゼンティーズム対策に活用することが大事です。

高ストレス者と判定された従業員に対しては、迅速に産業医や保健師との面談を設定し、専門的なケアにつなげます。管理職に対してラインケア研修を行い、日常の業務の中で部下の小さな変化に気づけるように教育することも欠かせません。

参考:ストレスチェック制度・メンタルヘルス対策|厚生労働省


6.プレゼンティーズム対策の企業事例

健康課題を解決し、企業の生産性を高めるためには、他社の具体的な取り組みを知ることが大いに役立ちます。ここでは、健康経営戦略マップを活用してプレゼンティーズム対策に取り組んでいる実際の事例をご紹介しましょう。自社の施策を検討する際のヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。

蝶理株式会社における健康経営戦略マップの活用

蝶理株式会社では、社員が働き甲斐を感じて幸せになれる企業の実現を目指して健康経営戦略マップを策定しています。

同社のマップにおいて5つの健康課題を明確化し、その進捗を細かく管理している点が特徴です。具体的には、ハイリスク者の放置ゼロやアブセンティーズムの改善に加えて、プレゼンティーズム(生産性指数)82%という明確な指標を設定しました。

こうした指標は年度ごとの推移が公開され、着実な取り組みが図られています。健康経営を経営戦略の中核に位置づけ、数値で成果を可視化する姿勢は、多くの企業にとって参考になるでしょう。

【関連記事】健康経営戦略マップの作り方!5つのステップで解説、事例も紹介



まとめ

この記事の要点をまとめます。


  • プレゼンティーズムは出勤しているが体調不良で生産性が低下している状態である
  • 欠勤による損失よりも目に見えない間接的な経済的損失が非常に大きい
  • 測定にはWHO-HPQSPQなどを活用し現状を可視化することが有効である
  • テレワークやフレックスタイム制など柔軟な働き方の導入が改善につながる

従業員の健康を守りながら生産性を高めることは、これからの企業経営において避けて通れないテーマとなりますので、ぜひ自社に合った測定と対策から検討を始めてみてください。


<最後に>

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