健康経営銘柄とは?選定基準やメリット、優良法人との違いを解説
自社の健康経営を強化したいと考えている人事担当者向けに、健康経営銘柄の選定基準やメリットを解説します。経営陣から取得に向けた調査を指示され、何から手をつければよいか悩んでいないでしょうか。
この記事では、健康経営銘柄の仕組みや優良法人との違い、実際の取り組み事例を紹介します。読み終わると、自社が認定に向けた具体的なステップを検討できるようになります。
1.健康経営銘柄とは
「健康経営銘柄」という名称を耳にしたことはあっても、具体的にどのような制度なのか、また似たような認定制度と何が違うのか、把握しきれていない方も多いのではないでしょうか。ここでは制度の基本的な概要や、類似する認定制度との違いについて解説します。まずは全体像を把握し、自社が目指すべきゴールを明確にしていきましょう。
| 項目 | 内容 |
| 運営主体 | 経済産業省および東京証券取引所 |
| 対象企業 | 東京証券取引所の上場企業 |
| 選定企業数 | 原則として1業種につき1社(最大5社まで) |
| 評価の基盤 | 毎年度実施される「健康経営度調査」の回答結果 |
| 目的 | 投資家に魅力ある企業として紹介し、健康経営を促進すること |
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健康経営銘柄の定義と目的
健康経営銘柄は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組む上場企業を選定する制度です。経済産業省と東京証券取引所が共同で実施しています。
この制度の主な目的は、長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家に対して、魅力ある企業として紹介することにあります。近年は少子高齢化に伴う労働力人口の減少が社会的な課題となっており、企業が従業員の健康を支援する重要性が高まっている状況です。
企業が従業員の健康に投資することで組織の活力が高まり、結果として業績や株価の好転につながるという考え方が制度の背景にあります。投資家からの評価を高めることで、社会全体に健康経営の取り組みを広げる狙いを持っています。
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健康経営優良法人との違い
健康経営に関連する制度として、健康経営優良法人という認定制度もあります。健康経営銘柄が東京証券取引所の上場企業の中から厳選されるのに対し、健康経営優良法人は非上場企業や中小企業も対象となります。
具体的には、大規模法人部門と中小規模法人部門に分かれており、広く優良な企業を顕彰する仕組みです。大規模法人部門の上位500社はホワイト500と呼ばれ、社会的な認知度が高い称号となっています。また、中小規模法人部門の上位500社にはブライト500という称号が与えられます。
健康経営銘柄の選定要件には、健康経営優良法人(大規模法人部門)の申請法人のうち上位500位以内に入っていることが含まれています。そのため、健康経営銘柄に選定された企業は、いわゆるホワイト500の評価も併せて受けている状態になります。
それぞれの制度の対象範囲と選定の厳しさが異なっていると理解しておくとよいでしょう。銘柄選定は原則1業種1社(業種内の取り組み状況に応じて最大5社まで選定されるケースもあります)という狭き門であるため、より高いハードルが設定されています。
参考:「健康経営銘柄2026」に44社を選定しました (METI/経済産業省)
2.健康経営銘柄に選定されるメリット
企業が健康経営銘柄に選ばれることは、社内外にさまざまな好影響をもたらす要素です。ここでは、投資家からの評価、採用活動への影響、従業員の生産性向上という3つの観点からメリットを解説します。経営層に提案する際の材料として活用してみてください。
| メリットの観点 | 期待される具体的な効果 | 影響を与える主な対象者 |
| 企業価値の向上 | ESG投資の対象として注目され、株価への プラス影響が期待できる |
投資家 株主 |
| 人材獲得の強化 | 働きやすい企業としてのブランド力が向上し、 優秀な人材が集まりやすくなる |
求職者 新卒・中途採用候補者 |
| 生産性の向上 | 従業員の心身の健康が保たれ、業務への集中力や パフォーマンスが高まる |
従業員全般 |
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投資家からの評価と企業価値の向上
健康経営銘柄に選定されることは、投資家からの評価を高める重要な要素となります。
近年、環境や社会、ガバナンスを重視するESG投資が世界的に拡大しているためです。従業員の健康管理に積極的に投資する企業は、中長期的な成長が見込める優良企業として認知されやすくなります。
東京証券取引所を通じて広く公表されるため、市場での信頼性も向上する仕組みです。機関投資家が投資先を決定する際の判断材料の一つとしても活用されています。
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人材獲得の強化と離職率の低下
採用市場におけるブランド力の向上も、大きなメリットの一つです。
求職者は、給与だけでなく働きやすさや福利厚生を重視する傾向にあります。国が認めた健康経営の優良企業であるという事実は、求職者に安心感を与える要素となります。新卒採用や中途採用の場面で、他社との差別化を図るアピール材料になります。社員を大切にする会社というイメージが定着することで、優秀な人材を獲得しやすくなると考えられます。
また、既存の従業員にとっても働きがいのある環境が整いやすくなり、離職率の低下にもつながると考えられます。人材定着に課題を抱える企業にとって、有効な解決策となるでしょう。
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従業員の生産性向上と業績への寄与
従業員が心身ともに健康で働くことは、組織全体の生産性向上に大きく関わる課題です。体調不良を押して働く状態が減少し、業務に対する集中力やパフォーマンスが高まるためです。このような状態はプレゼンティーイズムの改善とも呼ばれ、企業の隠れたコスト削減につながると指摘されています。
また、メンタルヘルスの不調による休職を未然に防ぐ効果も期待できます。健康経営の施策を通じて職場環境が改善されると、従業員のモチベーションも向上していくと考えられます。
個人のパフォーマンス向上が積み重なることで、企業の業績アップにもつながりやすくなります。健康投資はコストではなく、将来に向けた前向きな投資であると捉えられます。
3.健康経営銘柄の選定基準と評価フレームワーク
健康経営銘柄に選ばれるためには、国が定める基準をクリアする必要があります。ここでは、調査の評価項目や、具体的な財務指標の要件について解説します。自社の現状と照らし合わせて、不足している要素を確認していきましょう。
| 評価フレームワーク | 調査における具体的な確認内容 |
| 経営理念・方針 | 経営トップの関与や、社内外への健康経営方針の発信状況 |
| 組織体制 | 担当役員の配置や、産業医・健康保険組合との連携体制 |
| 制度・施策実行 | 課題把握に基づいた具体的な健康増進施策の実施と環境整備 |
| 評価・改善 | 実施した施策の効果検証と、それを踏まえた改善の取り組み |
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健康経営度調査の評価フレームワーク
銘柄選定の基盤となるのが、経済産業省が実施する健康経営度調査です。この調査は、法令遵守・リスクマネジメントを前提とし、経営理念、組織体制、制度と施策実行、評価と改善の4つのフレームワークで構成されています。まずは経営層が健康経営を経営課題として位置づけ、明確な方針を打ち出すことが求められます。
統合報告書などを通じて社外へ発信することも重要な評価ポイントです。そして、専門職や健康保険組合と連携した実効性のある組織体制を構築しなければなりません。さらに、従業員の課題に合わせた施策を実行し、その効果を定期的に検証して改善につなげるPDCAサイクルが必要となります。これら一連の取り組みが連動しているかどうかが、高く評価されるポイントです。
参考:健康経営とは - ACTION!健康経営|ポータルサイト(健康経営優良法人認定制度)
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財務指標などの具体的な選定要件
健康経営度調査の評価に加えて、いくつかの具体的な選定要件を満たす必要があります。まず大前提として、重大な法令違反がないことが条件です。労働基準法や労働安全衛生法などを遵守しているかどうかが厳しくチェックされます。
次に、健康経営優良法人の大規模法人部門において、上位500位以内にランクインする高い評価を得ていることが求められます。
また、財務指標によるスクリーニングも実施される仕組みです。具体的には、自己資本利益率の直近3年間平均が0%以上または直近3年連続で下降していない企業が対象として選ばれます。自己資本利益率は企業がどれだけ効率的に利益を上げているかを示す指標です。投資家への魅力という観点から、一定の業績基準を満たしていることが重視されていると言えるでしょう。
4.【事例】健康経営銘柄に選定された企業の取り組み
実際に健康経営銘柄に選定された企業は、どのような施策を実施しているのでしょうか。この見出しでは、2026年に選定された企業の具体的な事例を紹介します。自社で施策を企画する際のヒントとして役立ててください。
| 企業名 | 選定実績 | 主な健康経営施策のテーマ |
| 丸紅株式会社 | 4年連続5度目の選定(2026年時点) | 健康リテラシー向上、 がん・生活習慣病対策、睡眠改善 |
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丸紅株式会社の健康経営施策
丸紅株式会社は、2026年3月に発表された健康経営銘柄2026に選定された企業です。同社は社長を健康経営最高責任者とし、強力な推進体制を構築しています。具体的な取り組みとして、社員の健康リテラシーを向上させるための学習プログラムを導入しました。
また、がんや生活習慣病の対策として、経営層も参加する大規模なウォーキングイベントを実施しています。過去最多となる1700名超が参加するなど、社内での関心の高さが伺えます。さらに、睡眠計測デバイスを用いた睡眠改善プログラムや、女性の健康維持に向けた研修など、多様な課題に対する施策を展開してきました。
こうした多角的な取り組みが高い評価につながっていると言えるでしょう。
5.健康経営銘柄の認定を目指すためのステップ
健康経営銘柄の取得は、短期間で達成できるものではありません。計画的な準備と継続的な取り組みが求められます。ここでは、調査への回答から体制構築までの具体的なステップを解説します。
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健康経営度調査への回答と申請フロー
認定を目指すための第一歩は、毎年夏から秋にかけて実施される健康経営度調査に回答することです。この調査票は質問項目が多岐にわたるため、人事部門だけでなく各部署との連携が必要になります。経営企画部門や総務部門などと協力しながら、正確な情報を集める体制を整えておきましょう。
調査に回答すると、自社の取り組み状況に対するフィードバックシートが提供される仕組みです。このシートを活用すると、他社と比較した自社の強みと弱みを客観的に把握できます。
選定に漏れた場合でも、結果を次年度の施策改善に活かすことが重要なポイントです。継続して調査に参加し、評価を高めていく姿勢が求められます。
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組織体制の構築と施策の実行
調査で高評価を得るためには、評価フレームワークで挙げた経営トップの関与や組織体制を、形式だけでなく実体を伴った形で運用していくことが課題となります。具体的には、推進担当役員を明確に任命したうえで、現場の施策として健康診断の受診率向上や有給休暇の取得促進といった基礎的な取り組みから始めるとよいでしょう。
その後、自社の従業員が抱える特有の課題に合わせて、運動機会の提供やメンタルヘルス研修などを展開していきます。施策の実行にあたっては、産業医や保健師の専門的な知見を取り入れると、より効果的な健康支援につながります。
社内の意見を広く集めながら、継続的に改善を重ねていく姿勢が重要になります。
まとめ
この記事の要点をまとめます。
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従業員の健康への投資は、企業の中長期的な成長を支える重要な経営戦略の一つとなります。
<最後に>
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